漫画ヴィンランド・サガなどでも活躍する荒くれ者のヴァイキング達。
作中でも戦に参加したり、村を略奪したり、出稼ぎが終われば拠点に帰って騒いだりと荒々しい暮らしぶりが描かれていますが、実際のヴァイキングもこのような感じで日々を送っていたのでしょうか?
今回はリアルなヴァイキング達の生活を調べてみました。
ヴァイキングは海賊じゃない!?
ヴィンランド・サガをはじめ、映画や漫画の影響から
ヴァイキング=海賊
というイメージが付いていますが、実は違うんです。
ヴァイキングは、8世紀から12世紀にかけて、スカンジナビア地方に住んでいた特定の民族のことを言うんです。
彼らは主神オーディンをはじめとする北欧神話の神々を信仰し
海沿いの村で羊を飼ったり、海へ出て魚を獲ったり、その海産物を加工して他の地域を貿易をするなどして暮らしを立てていました。
そして仕事がなく暇な時期や、生活に困窮した時などに 副業として海賊業を行うことがあったようです。
ヴァイキングの一年
春…ヴァイキング達が住む農場は雪が解け、女たちは牛や羊を小屋から出して草を食べさせます。男たちは畑を耕し、種をまきます
夏…農場の仕事が減り、手の空いた男たちは、手下を引き連れ海に出ます。遠出をして略奪行為に励んだり、遠くの町まで出かけて交易をします。
秋…家畜が丸々と肥え、魚も畑の作物もとれるこの季節は、ヴァイキング達の楽しみ、宴会の季節。結婚式や収穫祭などなどをこの時期に開き、何かにつけて酒を飲みます。
冬…雪の降る時期、ヴァイキング達は小屋に籠って内職に励みます。生活用具の作成や船の修繕などやることはいくらでもあったようです。
このように、季節ごとにはっきりと生活を変えるメリハリのある暮らしぶりだったようですね。
ヴァイキングと海
ヴァイキングといえば海。
海の男であるヴァイキング達は非常に優れた造船技術や航海術を持っていました。
彼らは大工仕事が大の得意。ヴァイキング船と呼ばれる独特の船を作り、航海に乗り出します。
細長い形で、大きな帆を持っています
先がくるんっとしているのがオシャレポイント。
この船はしなやかで丈夫なだけでなく、すばらしい速度で進むことができました。
海では、星や島の位置から進むべき方角を探り、干し魚や乾いたパン(←木の船上で火は使えないため)をかじりながら船を操ります。
夜は近くの島に上がり、寝袋の中で数人ずつ抱き合って眠り、寒さをしのいだようです。
これら、海に関する知識や大工の技術は、今でも世界の船乗りや職人たちに伝えられています。
ヴァイキングの食事
ヴァイキングと言えば食べ放題の食事形式を連想するかたもいるでしょう。
しかしこれは実際のヴァイキング達の食生活とは特に関係がありません。
日本初の食べ放題レストランの店名が「バイキング」であったことから、日本ではこの呼び方が定着したそうです。
それでは本物のヴァイキングの食事とはどういったものだったのでしょうか?
ヴァイキングの食事はほとんどが保存食でした。
なぜならほとんどの食物は秋に獲れ、冬や春はそれを加工したもので食いつなぐ必要があったからです。
羊・牛の肉は干し肉、塩漬け、酢漬け、燻製にされました。
畑で採れた野菜や果物は乾燥させたり、酒にします。
麦はパンかビールにされました。海で獲れた海産物も主要な食物です。
サケなどの魚だけでなく、貝やイルカ、クジラ、アザラシなどがよく食べられていました。ヴァイキングの食事シーンで必ず登場するあの持ちやすそうなコップ。
これはリュトン、または角杯(かくはい)と呼ばれ、牛や鹿のツノでできています。あれってテーブルに置けないからかなり不便ですよね。
どうして普通に木のコップとかにしないんだろう?と思っていたら、ちゃんと理由がありました。あのコップは、主に酒を飲むため、または客人をもてなすために使われるものだそうです。
あのコップにお酒を注がれると・・テーブルに置けないため、すぐに飲み干すしかありません。
お互いに乾杯!といってがんがんイッキのみするのが男らしく、マナーにそった飲み方だったのです。
ヴァイキングと酒
ヴァイキングがあの角杯で飲んでいたものと言えば、水、牛乳。そして大好きなビールもガブガブ飲んでいました。
しかしそれよりもご馳走だったのが、ハチミツを発酵させて作った蜂蜜酒(ミード)。
ヴァイキングの男女が結婚するとき、女はこの蜂蜜酒をたっぷりこしらえておきます。
そして新婚から一か月は仕事もせずに二人で小屋にこもり、精のつく蜂蜜酒を飲みながら、ひたすら子作りに励むのです。
新婚ほやほやの時期であるハネムーン(ハニームーン)、あるいは蜜月などの言葉は、このヴァイキングの風習がもとになっていたんですね。