ヴィンランドサガ考察!キャラ名の元ネタは北欧神話

ヴィンランドサガ考察!キャラ名の元ネタは北欧神話


ヴィンランド・サガの舞台は11世紀の北欧。この時代の人々が信じていたのが「北欧神話」と呼ばれる物語です。
もちろんヴァイキング達も北欧神話の思想を深く信仰していました。


あの賢いアシェラッドすらも、やがて来ると言われる終末の日=最終戦争(ラグナロク)を信じて無常を憂いています

今回はそんな、ヴィンランドサガに欠かせない北欧神話との関りを解説します!




そもそも北欧神話って?


日本でイザナギやスサノオなどの神が信仰されたように、
ノルウェー、スウェーデン、デンマークなど北欧周辺では独自の神が信仰されていました。

北欧神話の概要をいいますと、

「世界には最初、燃え盛る炎と氷しかありませんでした。そこに最初の生命である巨人ユミルが誕生します。
そしてユミルの体から数々の巨人と神が産まれ、そしてユミルの死後は、死体から海や大地、星々が創られました。

やがて神々や巨人は仲違いし、争いを繰り返すようになります…」

そしてこれに登場する神々や物語が、ヴィンランドサガという作品のテーマに大きく関わってくるのです

ヴィンランドサガのキャラの元ネタ

ヴィンランドサガのに出てくるキャラの名前は、北欧神話が元ネタになっています。

例えば主人公のトルフィン、父のトールズ、のっぽのトルケルなどなど、作中にはやたらトル(Tor)という響きをもったキャラが出てきますがこれは北欧神話の神トールに因んだ名前なんです。

雷神トールは北欧神話の中でも最強と言われる神で、巨人から神々と人間を守るため戦い、数々の武勇伝が語られています。
北欧の国々では男子が産まれると、勇ましい男になることを願ってトール神にあやかった名前を付けることが多いようです。とくに戦の多かったこの時代には、男子は強い戦士として活躍することが何より期待されていたのでしょうね。


また、物語の黒幕ともいえるフローキは、ロキ神が由来だと思われます。

ロキは主神オーディンを裏切りその息子を殺害した、ずる賢い神として知られています。

フローキは姦計を巡らせ、アシェラッドにトルフィンの父トールズを殺害するよう依頼した人物。まさに北欧神話におけるロキのように、物語の引き金となっています。

それ以外にも、トルフィンがヴィンランドを目指す「北海横断編」には、北欧神話が名前の由来だと思われるキャラがわんさか出てきます。


ヒルドは戦場で死んだものを迎えに来るヴァルキュアの一人。


ガルムは地獄の入り口を衛る獰猛な番犬。


バルドルは賢く優しい光の神。


ユミルは原初の巨人の名前です。

どれも本人のイメージとぴったりのネーミングですね。

その他、北欧神話が由来でないキャラたちも、ほとんどが北欧によくある名前、歴史上の人物、またはサガ(北欧に伝わるおとぎ話)から名づけられています。

ヴァルハラのために戦い続けるヴァイキング達


作中でのヴァイキング達は死を恐れず戦いを求め続けますが、これには理由があります。

北欧神話によると、戦場で勇敢に戦って死んだ者は、神々に魅入られてヴァルハラ(天国)に行くことができるそうです。
一方で病気や寿命で死ぬとニブルヘイム(黄泉の国)に行くことになり、男にとって不名誉なことだとされていました。

ヴァルハラを信じるヴァイキングたちは、死後の世界のために戦い続け、略奪し略奪されを繰り返します。

これは男たちを戦場に引っ張り出すための残酷な洗脳とも言えますし、戦で命を懸けざるをえない者たちのすがる唯一の寄る辺だったとも言えます。
どちらにせよ、戦だらけだったこの時代においては必要なものだったのかもしれません。

ただし北欧神話を信仰しているのは北海からやってきた侵略者であるヴァイキング達であって、
アニメの舞台であるイングランドではキリスト教が主流でした。作中にも大酒飲みのキリスト教神父が出てきましたね。

歴史上ではこの後、イギリスが力をもつにつれキリスト教が世界中に広まり、北欧神話は下火になっていくのです…


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