アシェラッド死す!最後に託した言葉とは…

アシェラッド死す!最後に託した言葉とは…


アニメ「ヴィンランド・サガ」もいよいよ最終回を迎えました。スヴェン王を手にかけたアシェラッドが討たれるという衝撃的な展開でしたが、トルフィンを優しく諭すその死に際には思わずグッときてしまいますね。

今回はそんなアシェラッドの生い立ちや、何が目的だったの?という疑問、そして最期の言葉の意味について考察していきます。




アシェラッドの本名とその正体

「アシェラッド(灰まみれ)」は子供のこと周りに付けられたあだ名で、それとは別に母親が密かに付けてくれた名前がありました。
アシェラッドが最期に明かした本名は「ルキウス・アルトリウス・カストゥス」。これはアシェラッドの母親の故郷ウエールズに伝わる英雄王と同じ名前です。

アシェラッドがこの名前を付けられたということは、母屋の故郷とその一族の王であると決められたも同然で、それだけ母親からは愛されていたということでしょう。

アシェラッドのモデルはアーサー王?

「ルキウス・アルトリウス・カストゥス」はヴィンランド・サガの時代よりさらに800年前に活躍した古代ローマの軍人です。そしてこのルキウスは、アーサー王のモデルになった人物でもあります。


アーサー王は実在したかどうかははっきりしませんがヨーロッパ各地の伝説に登場する人物で、イギリスやノルウェーなど北欧諸国にまたがる大帝国を建設し、ゲルマン人の侵略を撃退した偉大なる王とされています。
とくにウエールズではアーサー王を称える歴史書がいくつも見つかっています

アシェラッドが母に授けられた本名は、ウェールズに伝わる英雄アルトリウス(アーサー王)にあやかったものです。

アシェラッドの生い立ち

アシェラッドはヴァイキング首領の父親と奴隷の母親の間に生まれました。


父親はデンマークの豪族であり、屈強なノルド戦士。大勢の部下を従え略奪を繰り返し、さらってきた女たちを侍らせていました。
そしてその中の一人であった母親は、ブリテン島(イギリス)のウェールズから連れてこられた奴隷です。


当時のイギリスは多くの小国に分かれていました。ウェールズ地方はイングランドと比べても非常に貧しい小国群で、北欧からやってくるヴァイキング達にたびたび侵略を受け、民は奴隷として連れ去られたようです。


アシェラッドの母親もこうしてデンマークまで連れてこられて奴隷として虐げられ、子を孕まされ、そして病にたおれ見捨てられます。
しかし母親には希望がありました。「遥か西にある楽土から、いつか英雄アルトリウスが軍勢を従え戻ってくる。蛮族どもを誅し、この世に平和をもたらしてくれる」という祖国の言い伝えです。

いつか英雄アルトリウスが戻ってきて、自分を病や奴隷身分から解き放ってくれることを信じ、そして自分の息子にアルトリウスと同じ名前を与えました。

奴隷として下働きを続けていたアシェラッドは、ある時父に剣の素質を見いだされ、ヴァイキングの一党に加わります。
そして2年後、父を暗殺して母の仇をとったアシェラッドは、父の遺産を引継ぎ、そのままヴァイキングとして活動します。

母の死後、若きアシェラッドは母の故郷ウェールズへの思いが捨てきれず、一人船に乗りウェールズにたどり着きます。

初めての土地で言葉も通じないアシェラッドですが、持ち前の頭の良さと剣の腕ですぐに周囲に認められます。
そして名を明かしたときには、かなりの好待遇を受けてたようです。
アーサー王の末裔だというアシェラッドの母は、故郷ウェールズでは王族に近い身分だったのかもしれません

しかしその後アシェラッドはデンマークに帰り、ふたたびヴァイキングの首領として手腕を振るい続けます。全てはある目的を果たすために…

アシェラッドの目的は何だったのか?

ヴァイキングの首領として名を馳せたアシェラッドですが、胸の内ではヴァイキングの男たちを軽蔑しきっていました

「馬鹿で不潔で、てめぇの欲望以外何もねぇクソ共さ。」
「ああいう美しくねえ連中が、そこら中から湧いて出て幅を利かせやがる。いくらぶち殺してもきりがねえ。」

…にもかかわらず、アシェラッド自身がヴァイキングの首領として長年働き続けたのはどうしてなのでしょう?

その目的は、この世に平和をもたらしてくる王を見出し、ウェールズの民を救うことにあります。

アシェラッドは母の故郷を愛しており、母やウェールズの民を”奴隷”と貶められた時には、たとえスヴェン王の前であろうと本気で怒ります。そしてウェールズの民が虐げられることのない世の中を作ろうとしました。

その王にふさわしい人物を図るため、アシェラッドはヴァイキングを束ねながら何十年も探し求め続けました。
そしてついに見つけた男がクヌート殿下だったのです。

強くて知恵もあり、英雄アルトリウスの末裔であるアシェラッド自身が王になればいいのでは?と思われますが、アシェラッド自身は汚いヴァイキングである自分は王の器ではなく、いずれ粛清されるべきだと考えているようです。

アシェラッドが最期に伝えたこと

クヌート殿下にウェールズの未来を託して息を引き取ろうとするアシェラッド。
彼は今際の際にトルフィンに問います。自分が死んだあとはどうするつもりだ、と。

「いいかげん先に進めよ」
「いつまでもこんなクソくだらねぇとこで引っかかってねぇで」

復讐にとらわれるだけの人生から解き放たれて、本当に意味のある人生を送れと説きます

「トールズの言った世界のその先へ…トールズの子のお前が行け」
「それがお前の…本当の戦いだ」

トールズは戦いと憎しみの連鎖から抜け出し、家族を守っていくことを選択しました。
しかしトルフィンはそれを超えて、いずれ多くの人を救う存在になります

「本当の戦士になれ…トールズの子」

死亡

アシェラッドはトールズの名前など忘れたと言ってトルフィンを挑発していましたが、本当はしっかりと覚えていました。
汚い手を使いトールズを殺したのは自分自身ですが、彼の人柄を尊敬し「本当の戦士には剣など要らぬ」という言葉すら覚えていたことがわかります

アシェラッドは、クヌート殿下の王の器とは別に、トルフィンの中にも大きな可能性を感じ取っていたのでしょうか
彼は死後も、罪の意識にさいなまれるトルフィンの夢の中にたびたび現れ助言を与えます。良くも悪くもそれだけトルフィンの人生に大きな影響を与えた人物でした。

伝説の地はヴィンランド?

アシェラッドの母が語る伝説では
「遥か西のかなた、常人にはたどり着くことのできない彼岸の地に、英雄アルトリウスの住む楽土があるという。平和と豊穣、不老不死が約束された理想郷だ。」
とのくだりが出てきます。

この”楽土”とはアーサー王の伝説に伝わるアヴァロンのことですが、その方角や内容からしてトルフィンが憧れるヴィンランドと完全にかぶっていますね。
アシェラッドの中ではただのおとぎ話でしかなかった伝説の地に、まさかトルフィンがたどり着くことになるとは彼も思わなかったでしょう。こんなところに不思議な因縁があったんですね。

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